一日目 後半
2005年11月4日 演劇の内容自体は悪くなかった。むしろ、良かったと言ってもいいかもしれない。ただ、役者で無い部分──音響などだ──にミスが目立った。前日にきちっとリハーサルを出来ていないなどの悪条件が重なってしまった結果である故、仕方ない部分もあろう。過ぎたことに文句を行っても仕方が無い。明日の公演に活かせれば、それでいいのである。
演劇が終わると、教室に戻る。先程と同じ場所のはずなのに、かなりの安心感があった。緊張の糸が切れたことで気分も高揚していた。劇後の反省を終えるとすぐに、三組の演劇へと向かった。役者の中に友人も多く、題材も面白そうだったので早いうちに見ておきたかったのだ。開演五分前に滑り込み、運良く最前列で見ることが出来た。劇自体は面白く、特にSの演技は素晴らしかった。跡で話を聞いたところ、それらは皆アドリブだったというのだ。普段の彼と大差ないからまさかとは思っていたのだが。その後は、第二次のオークションが始まるまで一般の展示などを回ることにした。
中学棟へとやってきて、三階、つまり中一の展示から順番に見て回る。僕らも、三年前はこうだったんだね、そんなことを友人と話していた。何処のクラスも工夫を凝らし、来場者に楽しんでもらえるようにしていたのだと思う。三年後、彼らは自分たちの展示をどう評価するのだろうか。そんなことを思いながら、各部活の展示へと移動した。語研、生物部、アニ研、科学部、展示という点では同じでも皆それぞれに個性がある。部活の色、という物がよくわかるのだ。その後は、数研に寄って友人の書いている会誌を貰った。書いてある内容は非常に難しく、僕に理解のできる代物ではないのだけど、それを貰うことに意味があるのだ。
気がつくと、時計は十四時過ぎであることを示していた。僕は縁日へと向かい、オークションの始まるまでは駄菓子を食べたり、古本をゆっくり眺めたりしながら過ごした。そして、本日の締めになるアニメ部門の第二次オークションが始まった。
それにしても、盛り上がらない。人が少ないのだ。僕らの期の人間もあまりおらず、一人二人を見かける程度だ。四クラス中一クラスが公演を控え、一クラスが公演中なのだから仕方の無いことなのだが。そんななか、オークションが始まる。しかし、熱気は無い。落札価格も低水準で推移している。そのおかげで、序盤には複数の品を非常に低価格で落札することが出来た。しかし、それも始めだけ。段々と、演劇を終えたクラスのメンバーや、所属する部活の展示担当を終えた人々が集まってくる。さらに、OBも増えてきた。熱気が増し、例年の盛り上がりに近づいてくる。ここで、友人Rが登場する。彼は、自分の欲しい商品には一気に高額で入札し、有無を言わさずに落札するという手法で複数の品を手にしていた。実際、これは正しい方法なのだ。一円からだらだらと上がり続けた場合、二人で争っている場合は特にそうなのだがどちらも引くに引けず、必要以上に高額がついてしまうことがある。逆に、一気に高額入札すれば争う相手もおらず、すぐに落札出来て時間も節約できる。結果的に安く落札できていることも少なくない。しかし、これはあくまで金の力に裏打ちされた手法であり、あまり余裕のない僕には向かない。僕のような人間は、どうにか人を出し抜いて落札するしかないのだ。幸い、最も人気のある某企業の関連商品にはあまり興味が無いので、高額で物を落札することは無かった。そうして、幾らかの商品を落札したところでオークションは終わりを告げた。
あとは、教室に帰り、解散するだけである。途中、ステージでダブルダッチ同好会を見かけた。どうやらステージのトリを務めているらしい。多少のミスは見かけたが、格好いい技も多々あった。詳しく知っているわけではないのでなんともいえないが、一般人としてみている分には十分な出来だったのではないだろうか。そんなことを思いながら、下駄箱から一番遠い、教室へと帰る。
解散の前に、全員に学校長からの手紙が配られた。保護者向けで、打ち上げの時に羽目を外すな、という趣旨のものだったらしい。それを受け取れば解散だ。出席番号の後ろの方から配られたため、すぐに回ってきた。
こうして、文化祭の一日目は終わった。
演劇が終わると、教室に戻る。先程と同じ場所のはずなのに、かなりの安心感があった。緊張の糸が切れたことで気分も高揚していた。劇後の反省を終えるとすぐに、三組の演劇へと向かった。役者の中に友人も多く、題材も面白そうだったので早いうちに見ておきたかったのだ。開演五分前に滑り込み、運良く最前列で見ることが出来た。劇自体は面白く、特にSの演技は素晴らしかった。跡で話を聞いたところ、それらは皆アドリブだったというのだ。普段の彼と大差ないからまさかとは思っていたのだが。その後は、第二次のオークションが始まるまで一般の展示などを回ることにした。
中学棟へとやってきて、三階、つまり中一の展示から順番に見て回る。僕らも、三年前はこうだったんだね、そんなことを友人と話していた。何処のクラスも工夫を凝らし、来場者に楽しんでもらえるようにしていたのだと思う。三年後、彼らは自分たちの展示をどう評価するのだろうか。そんなことを思いながら、各部活の展示へと移動した。語研、生物部、アニ研、科学部、展示という点では同じでも皆それぞれに個性がある。部活の色、という物がよくわかるのだ。その後は、数研に寄って友人の書いている会誌を貰った。書いてある内容は非常に難しく、僕に理解のできる代物ではないのだけど、それを貰うことに意味があるのだ。
気がつくと、時計は十四時過ぎであることを示していた。僕は縁日へと向かい、オークションの始まるまでは駄菓子を食べたり、古本をゆっくり眺めたりしながら過ごした。そして、本日の締めになるアニメ部門の第二次オークションが始まった。
それにしても、盛り上がらない。人が少ないのだ。僕らの期の人間もあまりおらず、一人二人を見かける程度だ。四クラス中一クラスが公演を控え、一クラスが公演中なのだから仕方の無いことなのだが。そんななか、オークションが始まる。しかし、熱気は無い。落札価格も低水準で推移している。そのおかげで、序盤には複数の品を非常に低価格で落札することが出来た。しかし、それも始めだけ。段々と、演劇を終えたクラスのメンバーや、所属する部活の展示担当を終えた人々が集まってくる。さらに、OBも増えてきた。熱気が増し、例年の盛り上がりに近づいてくる。ここで、友人Rが登場する。彼は、自分の欲しい商品には一気に高額で入札し、有無を言わさずに落札するという手法で複数の品を手にしていた。実際、これは正しい方法なのだ。一円からだらだらと上がり続けた場合、二人で争っている場合は特にそうなのだがどちらも引くに引けず、必要以上に高額がついてしまうことがある。逆に、一気に高額入札すれば争う相手もおらず、すぐに落札出来て時間も節約できる。結果的に安く落札できていることも少なくない。しかし、これはあくまで金の力に裏打ちされた手法であり、あまり余裕のない僕には向かない。僕のような人間は、どうにか人を出し抜いて落札するしかないのだ。幸い、最も人気のある某企業の関連商品にはあまり興味が無いので、高額で物を落札することは無かった。そうして、幾らかの商品を落札したところでオークションは終わりを告げた。
あとは、教室に帰り、解散するだけである。途中、ステージでダブルダッチ同好会を見かけた。どうやらステージのトリを務めているらしい。多少のミスは見かけたが、格好いい技も多々あった。詳しく知っているわけではないのでなんともいえないが、一般人としてみている分には十分な出来だったのではないだろうか。そんなことを思いながら、下駄箱から一番遠い、教室へと帰る。
解散の前に、全員に学校長からの手紙が配られた。保護者向けで、打ち上げの時に羽目を外すな、という趣旨のものだったらしい。それを受け取れば解散だ。出席番号の後ろの方から配られたため、すぐに回ってきた。
こうして、文化祭の一日目は終わった。
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